2018年11月21日水曜日

え塾展報告④ 抽象画編

お待たせしました。え塾展作品、第4回目は抽象画です。

抽象画とひと口に言っても、本当に多種多様な表現があります。モチーフなどの対象物が無いゆえに、形も色もどう表現するか、ほとんどの部分を作者が選んでいかなければならないので、自然と多様な表現が出てくるのだと思います。

よく、「抽象画はわからない」と言われることがありますが、私はそういう方は具象画も半分ぐらいしか楽しめていないんじゃ無いかなと思っています(個人的な見解ですが^^; )。絵は絵の具などの物質でできています。その絵の具などの描画材を、作者は色を選び、絵の具のコンディションを決め、画面に付けていく…。そういう意味では私は具象も抽象も全く同じ要素を持っていると思います。ですから、絵を描く方は、絵を見る時にも「どんな色調で描いてるのか」「絵の具は薄いのか厚いのか、なめらかなのかゴツゴツしているのか」「筆使いは繊細か、軽快か、ダイナミックか」など、そういったことにも目を向けて欲しいなぁと思っています。

さてさて、作品のご紹介に参りましょう!



オイルパステル・ガッシュ 524×726mm
抽象画コース 在籍生作品

階段や洗濯物、木々など風景を思わせるモチーフが描かれていますが、具体的な風景を描いているというよりは、風景的なイメージを自由にコラージュするかのように扱っています。明るい色彩と、おおらかで伸びやかな線描が、心地よいリズムを刻む軽快な作品です。



鉛筆・ミクストメディア・色鉛筆
抽象画コース 在籍生作品

花をモチーフに描かれた作品です。写真からは伝わりにくいですが、細密デッサンのように緻密に鉛筆で描写されています。淡い水彩絵の具のシミに見えるような部分も、実は丁寧に色鉛筆で描写しています。その世界は、まるで極細の糸で編まれたレースのような繊細さです。



油彩 F6号
抽象画コース 在籍生作品 

人物クロッキーがモチーフになっていますが、人物を説明するのではなく、フォルムやクロッキー的な線の表情を再構成して絵作りしています。筆で絵の具をキャンバスに置くという当たり前の行為に、細心の注意を払って描いているのがわかります。クロッキーをして、人物画を描くのではなく、線そのものに着目する発想が面白いですね。



油彩 組み作品
抽象画コース 在籍生作品 

小さな作品をランダムに組み合わせて展示された作品群には、対象物はそれぞれ異なるものを描きながらも、どこか共通した世界観が感じられます。幾重にも塗り重ねられた色調に、インディゴブルーの線描が効いています。朱赤で描かれた人体のフォルムもおおらかで良いですね。



油彩 組み作品
抽象画コース 在籍生作品 

こちらはアルシュオイルペーパーという、油彩画のために加工された紙に油彩で描いています。絵の具の表情は基底材によっても大きく異なるので、いつもはキャンバスで描いているという方が、紙を使って描くと新たな発見があると思います。


上 組み作品より

こちらの作品は、アクリルメディウムでマチエールを作った上に油彩で描いています。街のようなイメージですが、風景を再現するのではなく、あくまでも街らしきフォルムをテーマとしつつ、絵肌と色調にこだわりながら描かれた作品です。単色ながらも色調が美しいですね。


オブジェ
抽象画コース 在籍生作品 

アンティークのフレーム、レース、布製の花など、好きで集めているものをブリコラージュ(寄せ集めて作る)して作られた作品です。個々のものは既製品ですが、集め、構成して世界を紡ぐ、こうした手法でも作品を作ることができます。素材は一朝一夕では集まりませんから、常日頃からご自分の感性に合うものを探している様子が伺えます。




これら、え塾展に出品された抽象画(抽象画とカテゴライズして良いのか疑問もありますが^^; )の作品は全て、「抽象画コース」の生徒さんの作品で、展覧会には上記以外にも様々な作品がありました(全部ご紹介出来ないのが残念です)。

ところで、抽象画コースの授業ってどんな感じ?と思われますよね。上記のような作品はどこから生み出されるのか…。実は、え塾の抽象画コースでは、皆さんが同じスタイルで何かを描くという授業は行っていません。課題もほとんどありません。「何を描くか」「どういった手法で描くか」それを個々に探すことからスタートします。もちろん、このふたつが最初から見えている方はほとんどいないので、授業ではそのきっかけをつかむためのスライドを使った「美術講義」というのを隔週で行っています。


スライドを使った美術講義の様子

「美術講義」では古今東西の作家や美術史の潮流を取り上げ、美術が何を問題としてきたのか、その作家が何を表現しようとしてきたのか、具体的な作品をスライドで鑑賞していただき、解説を行っています。そうした授業の中に、制作のヒントがたくさん含まれています。

「抽象画を見てもさっぱりわからない」とよく耳にしますが、わからなければ当然描くことも難しいのです。絵は視覚的なものですので、見ればわかると誤解されがちですが、鑑賞する上でも勉強は必要です。「美術講義」の授業では、美術の歴史を学び、美術が何を問題としてきたか、世界の価値観がどう変化してきたのか、そんなことに触れながら、絵をより深く近いしていただくための手助けをしています。

もちろん、描くための絵作りの基本やヒント、画材の扱い方などもきちんと指導していますので、自由に描いてみたい!絵をもっとよく知りたい!という方は、月曜のえ塾の「抽象画コース」をぜひご利用ください ^^

え塾の授業は随時ご見学できます。お気軽にお問い合わせください。


え塾展報告バックナンバー

え塾展報告① 人物画編
え塾展報告② 風景画編
え塾展報告③ 静物画編








2018年11月2日金曜日

え塾展報告③ 静物編

え塾展報告、今回は静物編です^^

静物画は、絵画教室のみならず、美大受験のための予備校などで最も頻繁に描かれるジャンルです。一方、人物や風景に比べるとやや地味さがあり、作品化するには今ひとつ不人気なテーマでもあります^^; 

静物画を学ぶ利点は、

 ①風景のように時間や天候による変化にあまり影響されないのでじっくり時間をかけて観察ができる。
 ②基本的な形態(球体や円柱、立方体)などを理解しつつ、応用・展開のバリエーションが豊富。
 ③様々な質感表現(ガラスや金属、果物や花など)のトレーニングが行える

と、絵が上達するための基本エッセンスがしっかり詰まっているので、え塾のアトリエでも頻繁に描いていただいています。一方、教室で描いて頂くモチーフは、いつも皆さんのモチベーションが上がるものばかりとは限りません^^;「こんなもの絵になんの?」と冷たい視線を送られることも…。ええ、すみません、勉強ですので描いていただけますか?「基本、詰まってますから!」(笑)


少々愚痴っぽくなりました(笑)。
静物をテーマとした作品、見ていきましょう!


静物画 アクリル 水彩

水彩(アクリル) 52×72cm
水彩画コース 土曜在籍生作品

アトリエに組まれたモチーフを描いています。見たままを描くのではなく、モチーフが持つ形態やリズムを生かしつつも、絵肌や色調など自分なりの解釈で絵作りしているのが成功しています。のびのびと絵の具を使い、説明的な描写ではないながらも統一感のある画面に仕上げているところに作者の高い技量を感じます。



静物画 水彩 アクリル絵の具

水彩(アクリル) F10号
絵画コース 金曜在籍生作品

アトリエに組まれた静物を描いています。背景に貼られたデイビッド・ホックニーの展覧会のポスターの雰囲気をうまく絵作りに利用しています。フラットに塗られた彩度の高い色面に、油彩転写で引かれた線のリズムが効いています。ごちゃごちゃしたものを臆せず、しっかり描き切った強さがありますね。



静物画 油彩

油彩 F50号
絵画コース 水曜在籍生作品

大型の静物を大きな画面に描いています。モチーフの形態をやや単純化し、色面で表現するという狙いを持って描いています。使用する色数を制約し、派手な絵ではありませんが、丁寧にトーンを作ってい流ところに好感が持てます。




また、静物モチーフは、ご自身で描きたいものを見つけられれば、それを自由にセットし、モチーフを作る段階から絵作りできるのも静物画の魅力です。

水彩 コラージュ

水彩・コラージュ F10号
絵画コース 金曜在籍生作品

正確には静物画ではありません。写真などの資料を活用し、卓上に花器と花がある静物画的な状況を描いています。ここまでくると、「描きたいものを描く」、というより、「描きたいイメージ」があって、それを表現するのに都合の良いモチーフを探して描いている、といった方が適切かもしれません。描画材も自分らしく上手に扱えていて、完成度の高い作品です。



静物画 油彩 

油彩 F6号
絵画コース 月・木曜在籍生作品

こちらも、描きたいものがあってそれを見ながら描いていると言うより「こんな雰囲気の絵にしたい」という、<絵のイメージ>から出発している作品です。どんな色調で描きたいか、どんなタッチで描きたいか、絵の要素にしっかりと向き合いながら制作されています。主役は当然、花ですが、背景や花器の色調がとても魅力的ですね。


いかがでしたでしたか?
え塾では、基本的なことを学びたいという方には、静物や石膏デッサンなどを交えた授業を行い、ご希望に応じ、その他の人物や風景などのテーマの制作のサポートと指導を行っています。見学・入学随時できますので、お気軽にお問い合わせください。詳細はえ塾HPをご覧ください。(秋)

え塾展報告バックナンバー

え塾展報告① 人物画編
え塾展報告② 風景画編
え塾展報告④ 抽象画編















2018年10月26日金曜日

え塾展報告② 風景編

え塾展報告、今回は風景編です^^

風景画もとても人気のあるテーマですね。当教室の授業はアトリエの中での制作のみとなっており、野外にスケッチに出かけたり野外で絵を描く、というような授業は残念ながら行っておりません。ですので風景画を描く場合は、授業外でご自身で写真をとったり、スケッチをしていただいたりして取材をしていただき、それをもとに本画制作のアドバイスをさせていただいております。

さて、写真を用いて描く場合、気をつけなければならないのは、無意識に写真そっくりに描こうとすることでしょうか。写真そっくりな絵を描くのであれば、写真で良いですものね。授業では、写真をそのまま描くのではなく

①「どんな色調で描くのか?」
②「どんなタッチで描くのか?」
③「構図は写真のままで良いのか?」

など絵に落とし込んでいくポイントを相談させていただいています。

では、具体的に作品を紹介していきましょう!

風景画 油彩

油彩 F20号
絵画コース 火曜在籍生作品

色調のバランスのとれたとても色のきれいな作品です。ブルーや紫などを使い、単調になりがちな緑をうまくまとめています。派手な主役はないものの、画面全体を織物のように一筆ひと筆丁寧に絵の具を置いていく作風に好感が持てます。


風景画 油彩
説明を追加

油彩 F6号
絵画コース 水曜在籍生作品

油彩ですが、スケッチ風に描かれた軽快な作品です。筆の勢い、色調、ともに、絵のイメージをしっかりと持って描いているのがわかります。普段は大きめの作品を描くことが多い方なので、小さい作品でものびのびとした筆使いが心地よいですね。


風景画 油彩

油彩 F4号
絵画コース 水曜在籍生作品

この作者は生活圏にある風景を絵作りで面白く表現しています。作者も写真を利用していますが、色調や形を自分なりに置き換え、ユーモラスな雰囲気のある独特な作品に仕上げています。どんな風景を選ぶか、そこからすでに作者の独自性が感じられますね。


風景画 水彩

水彩 F10号
絵画コース 金曜在籍生作品

この絵は赤・青・黄の3色を混色しながら描いています。3色とは思えない色幅で、特に岩の色調が良いですね。実はメインになる滝や水しぶきには絵の具は載せていません。紙の白をうまく利用した表現が功を奏しています。伸びやかな絵の具の扱いが気持ちの良い作品です。


風景画 水彩

水彩 B3サイズ
絵画コース 木曜在籍生作品

普段は油彩をメインに描いている生徒さんの、水彩初の風景画です。水彩絵の具も建物を描くのも不慣れながら、写真をよく観察し、窓や壁の落書き、看板の文字など細部までこだわって描き切った強さがあります。複雑な色調を生かし古い街中の雰囲気を上手に表現できています^^

風景画 水彩

水彩 B3サイズ
水彩画コース 土曜在籍生作品

ふわっとした、水彩らしい優しい雰囲気の作品です。絵を描くとき、何を描くかということと同様に、何を描かないかを考えるとこも重要なポイントです。建物の窓や水面などを必要以上に描かず、ゴンドラにうまく視点を集めることに成功しています。


習っている人が、みんな同じ絵になってしまうのではなく、生徒さんが自分にとって描きたい絵を描けるようになる、そんな授業をえ塾では目指しています。もちろん、基本からやりたいという方も大歓迎!授業の見学・入学随時受付中です^^(秋)

絵画教室 え塾の詳細は公式HPをご覧ください。

え塾展報告バックナンバー

え塾展報告① 人物画編
え塾展報告③ 静物画編
え塾展報告④ 抽象画編


2018年10月19日金曜日

え塾展報告① 人物編

今年は71名の方が参加、約190点あまりの作品が出品され、2018年度の「え塾展」無事終了いたしました。さまざまな作品があり、とてもに楽しい展示空間となっていました。全ての作品をここでご紹介するのは無理なので、今年はテーマ別(人物画・風景画・静物画・抽象画)という4つのカテゴリで作品を紹介していきたいと思います。

人物画 油彩

油彩 F8号
絵画コース 火曜在籍生作品

お孫さんと、そのお友達でしょうか?子供の丸いフォルムとあどけない仕草がよく表現できていますね。人物を描くと、顔ばかりに力が入ってしまいがちですが、服装や手の動き、宙ぶらりんになった足など、うまく子供らしさを表現しています。


人物画 油彩

 油彩 F8号
絵画コース 火曜在籍生作品

古典的な技法がベースとなった、高い描写力を感じる作品です。夕食時の風景でしょうか?明かりに照らされた、まつげの影がとても印象的ですね。お孫さんへの温かいまなざしを感じます。


人物画 日本画

日本画 F15号
日本画コース在籍生作品

お孫さんと、春の訪れを感じさせる樹木や小鳥を構成して描いています。赤ちゃんに目がいきがちですが、樹木の表現、メジロやヒヨドリの描写など、技術の高さを感じます。ヒヨドリのいたずらそうな目つきがいいですね^^


人物画 油彩

油彩 F8号
絵画コース 木曜在籍生作品

毎年、定点観測のように描き続ける生徒さんもいらっしゃいます^^毎年のように描いて、これで4枚目でしょうか?ご自身で撮影されたスナップをもとに描かれていますが、動きがとても自然で良いですね。赤いストローがとても効いています。


人物画 日本画

 日本画 F6号
日本画コース在籍生作品

お孫さんではなく、お嬢様です^^成人式のお写真でしょうか?柔らかいお顔の表情と、艶やかな着物の模様のコントラストが効いています。髪の毛の描き方など、細部までとてもこだわって描かれた1枚です。


アトリエなどで描くモデルさんと異なり、ご家族だと思い入れがある分作品のクオリティーが高くなることが多いですね。絵にするよ!と言うとなかなかポーズを取ってくれないこともありますが、もし身近にモデルを務めてくれる方がいらっしゃいましたら、人物画、ぜひ挑戦してみてください。


次回は風景画編でご紹介いたします!(秋)



え塾展報告バックナンバー

え塾展報告② 風景画編
え塾展報告③ 静物画編
え塾展報告④ 抽象画編

2018年10月16日火曜日

第11回え塾終了しました。


第11回、え塾展終了しました。お天気にも恵まれ、たくさんの方にご来場いただきました。え塾展の様子は、出品作品も交え後日お知らせさせていただきます。

ご来場くださった方々、ありがとうございました。出品された生徒さん、本当にお疲れ様でした^^また1年後を目指して頑張りましょう!(秋山)

2018年9月7日金曜日

第11回 え塾展のお知らせ

 

第11回となります、教室展「え塾展」、今年は10月9日(火)からの開催です!

今年も70名前後の方が参加、大小200展前後の作品が並ぶ予定です。
絵のお好きな方、「え塾」の授業に興味がある、という方ぜひ足をお運びください。

展覧会概要

第11回 え塾展
会場:横浜市民ギャラリー
期日:10月9日(火)〜14日(日) 10:00a.m.〜6:00p.m.
※初日は1:00p.m.〜 最終日は3:00p.m.まで




さてさて、すでに皆様、出品される作品出来ていると思いますが(^。^;)、出来ていない!という方のための駆け込みモチーフ組みました(木曜・金曜のクラス)。


大きい絵でも、小さい絵でも描ける、
どこから描いても絵にできる(と思う^^)
モチーフです!


モチーフ左端
お花の名前、忘れました^^;
知っている方、教えてください!



え塾の授業、1ヶ月あまりの夏休みを経て、9月1日より授業再開しています。入会ご希望の方、見学等随時行っておりますので、お気軽に足をお運びください。

資料請求・ご見学のお申し込みはこちらから。



2018年7月23日月曜日

絵画コース授業紹介(金曜午後クラス)

え塾の授業は7月24日〜8月31日の間、お休みとさせていただきます。

と、いうことで金曜のクラスは1学期?の最終日(学生みたいですね^^)でしたので、作品が仕上がった方や途中経過が良かった方の作品を撮影させていただきました。

油彩 F10

Fさん作品
以前描いた静物油彩に再度手を入れています。実はこの絵の下に別な絵があって(俗に言う古キャンですね^^)その効果もあって、絵肌が非常にこってりしていて、油彩らしい重厚な絵になってきました。幾重にもやり取りされた絵の具の表情が複雑で厚みのある表情を作り出しています。どこをとっても綺麗ですね。

水彩 F6号

Hさん作品
え塾HPの「授業の最近作より」にも掲載させていただいた作品の次に描かれた作品です。前回の作品は水彩とパステルを併用して描いていましたが、今回は水彩オンリーです。中景から遠景にかけて、緑が微妙に変化して空間が移ろっていく所など、上手いですね。空間がぎゅっと圧縮されているところと、手前の水面のたっぷりとした表現とのコントラストが気持ちいいです。非の打ち所がありません^^


ミクストメディア B3サイズ

Kさん作品
まだ途中ですが、あまりにも綺麗なので撮らせていただきました。水彩とコラージュで描いた作品ですが、画面中央のきっぱりした白はコラージュされた紙を剥がしたところ。絵は絵の具をのせていく「プラスの仕事」だけでなく、時にはこうした「マイナスの仕事」が功を奏することがあります。抽象画として描くならここでやめても良さそうですが(ここでやめてもいいんじゃないかな〜っと私なんかは思ってしまいますが^^)、ある程度具象的なイメージをKさんは描きたいので、ここからどう持っていくか。仕上がりが楽しみです。


絵画コースでは、皆さん思い思いのテーマで自由に絵を楽しんで制作されています。10月には恒例の展覧会「え塾展」も開催です!今年もさらにグレードアップした作品が並びそう^^楽しみです。

ジャン・ジャンセンの模写より

パステルを使ってのエスキース中

ご自身の郷里を水彩で描いています

え塾の授業は明日より8月いっぱい夏休みとさせていただきます。ご見学希望の方は9月1日(土)以降の授業をご利用ください。資料請求は随時受付中です。ご希望の方はえ塾HPよりご請求ください。


2018年7月9日月曜日

抽象画コース午後編

先週に引き続き、抽象画コースの午後のクラスの様子をお伝えします。

まずは作品からご紹介していきましょう。


KSさんの制作風景。
ご自身が取材した風景をもとに、ご自身の感覚で対象物をデフォルメして描いていきます。明快な色調と、ユーモアを感じる形態。不思議な魅力のある作品です。木の表現など上手いですね〜。なかなかこうは描けません^^


KSさんの今回の作品は、連作になっています。デフォルメの過程で、どのようなリズムの形態にしていくのか、何を描いて何を描かないかなど、よくコントロールされています。




Oさん制作風景。
キャンバスに薄塗りのアクリル絵の具で描かれているOさん。いつもデリケートな色調が美しいです。今回は、風景のような、でも風景画に見えないような、その中間に仕上げたいと(いう感じのこと)仰っていました。こちらも3枚連作で描いています。Kさんと違い、3枚で出発のテーマは共通しているところはあるようですが、3枚それぞれでいろいろ模索されているので、最終的にどう落とし込んでいくのか興味深いです。




KMさん作品
記憶の中にある植物や静物の形態をモチーフに描くKMさん。今回は洋梨やコーヒーの木をモチーフに描いています。描いているものは具象的なテーマで、形態も葉や実など何を描いているのかはっきりと分かるのですが、絵の作りはオールオーバーで、画面全体が均質化されていて、そこがとても面白い作品です。抽象画的な画面の作りなのですが、具象的なイメージも持ち合わせていて、そのあたりのさじ加減がとても上手です。


KMさんの作品はもう何年もこの組み合わせの絵の具で描かれています。ウルトラマリン・イエローオーカー・バーミリオン(?)。つまり青・黄・赤です。3原色と呼ばれる組み合わせで、この3色があればどんな色でも作ることができる、と言われる3色です。これにホワイトを混ぜてトーンの調整を行っているのですが、出来上がった作品を見るともっといろんな絵の具を使っているのでは?と見えるのではないかと思います。混色のお話については、え塾HPのコラム「絵の話 画材の話」で改めてお話しさせていただきますが、色作りがとても成功している例だと思います。



Yさん制作風景。
Yさんは度々「スポーツをする人」をモチーフに絵を描いていますが、今回のテーマは「ヨガ」!0号のキャンバスにヨガのポーズを一つずつ描いていくというコンセプトです。0号が数枚固まって一つの作品になるということですが、どんな作品に仕上がるのか興味深いです!



こちらは、抽象画コースと同時に授業を行っている水彩画コースの生徒さん、Hさんの作品です。水彩画コースですが、抽象画のような作品ですね^^オーロラの雰囲気を水をたっぷり使った水彩絵の具ので表現しています。水の力を利用して絵の具を滲ませたり、画面上で色を混ぜ合わせたり、濁らないよう筆で触りすぎないようにコントロールすることがポイントですが、Hさん画面をよく見て制作できていました。


同じ先生が同じように授業を行っても、在籍している生徒さんによってクラスの雰囲気も随分異なります。抽象画コースも午前と午後ではだいぶ雰囲気が異なりますね。
午前クラスの記事はこちら


抽象画コースではどのように授業をしているのか、どのような指導がなされているのか?
についてもお話しするつもりでしたが、長くなりましたので、それはまた次回に^^
(秋山)

2018年7月3日火曜日

抽象画コース授業紹介(午前編)

久しぶりの授業紹介です。今回は月曜に行っている抽象画コースをピックアップしてご紹介させていただきます。

抽象画コースは毎週月曜の午前と午後に授業を行っています。このコースの授業では、生徒さん全員が決まったものを描くというスタイルは取っていません。基本的に、ご本人が描きたいものを描く、というスタイルです。ですので、表現スタイルも実に様々です。

少し作品を見ていきましょう。

まずはFさんの作品3点(いずれも部分)。




上記2点は<油彩転写>という、クレーもよく行っていた手法で描いています。3点目のみオイルパステルを使用しています。いずれも、線描は油性の素材を使用し、ベースの色彩は水性のものを使用しています。はじく、染み込む、かすれる事など、それぞれの素材が見せる表情をうまく利用しながら絵作りしています。そうした偶然性の面白さだけでなく、ご自身で意識的に引いた線のリズム、形態が小気味良いバランスを生んでいます。色彩も綺麗ですね。まだ制作途中の様ですので、どこに行き着くのか楽しみです。





Tさん作品より。
いつもは色彩豊かで奔放な作品作りをされているTさんですが、今回は敢えてモノクロームの作品に挑戦。トレーシングペーパーを使い、半透明である事を利用した作品作りを模索されています。色彩を抑制した分、タッチや微妙なトーンの変化などに目がいきます。今後何を制作の中心に据えて制作していくのか興味深いです。
え!あの作品がこんな風に!…と成長するのをお待ちしています^^





Sさん作品より。いずれも制作中。
全体を眺めてしまうと漠然とした印象なのですが、近くで見るとびっしりと引かれた極細の線や、わずかに透ける絵の具の表情や微妙な色彩のトーンが作者の独特な感性を感じさせます。種明かしをすると(しても良いのかな^^;)実は「バナナジュースを飲み干した後のグラスの表面」をモチーフに描いているとのこと!グラスにだらだらっと付着したバナナジュース、その表情が面白くて制作の動機になったそうです。日常の何気ないシーンからモチーフを探せるところが素晴らしい。




Yさん作品。
Yさんの作品もとても面白いのですが…この日はあまり写真が撮れませんでした。残念!Yさんの作品は、色彩の移ろい、薄さ、軽さ、ちょっとした凹凸などが見せるわずかな変調によって絵が構成されています。素材もいわゆる画材だけでなくリボン・シール、スタンプ、あるいは自作の何か(?)など<本当に自分の好きなテイストのもの>を吟味して持ち込んで制作されるので、こちらも見ていて何がどうなるのか非常にワクワクさせられる生徒さんです。




Hさん制作風景
最近入られたばかりのHさん。入られたばかりですが、一目でベテランだとわかります^^クロッキーが上手いです!クロッキーはどこか別の教室でムービング(人物が動いているところを描く)の授業で描いたものという事で、このクラスではそれを元に油彩で制作をされていました。線だけでも十分見ごたえあります。



ちょっと普通の絵画教室ではないですね^^
普通ではないけれど、かなり面白い雰囲気になっています。抽象画、ちょっと興味あるという方、ぜひご見学ください。お待ちしています。

次回は、抽象画コース授業紹介(午後編)と、「いったいこの教室どんな指導を行っているの?」という事に少し触れたいと思います^^
(秋山)